『ある日のメルヘン』


雪が空から しんしん しんしん
そう まるで花びらみたいに舞い落ちていた日
1人の女の子とその母親が
静かな道を歩いていました

ふと 女の子が立ち止まり
母親を見上げて言いました
「おかあさん なぜ ゆきはふるの?」
可愛らしい声!
「それはね、
お空の神様の国は今 春なのよ
いろんな花の花びらが
たくさん たくさん 雲の隙間からこぼれてくるの
それが 地上に落ちる前に雪になるのよ」
母親は優しい声で女の子に言いました

胸があったかくなるような
女の子と母親のおしゃべり
オレンジ色の傘が道の向こうに消えたとき
私は その道の上にふわりと降りました

私は雪の精
かつては本当に花びらだったのです