『くもったガラスの幻影』
無気力な人間が住む無気力な街
華やかなのはネオンの光だけ
光の陰の虚無の街
無気力な人間が行く当てもなく歩いている
躓いて転んだ者は立ち上がろうとはしない
自分の進み行く道を見極めているのかいないのか
ただ歩き続ける人間の抜け殻たち
自然も生気を失い
植物は美しさを忘れ
動物は躍動を忘れ
河は流れる事を忘れてながれ
山は雄大さを忘れて立ち続ける
いつもと変わらぬ活気ある街や自然と
くもったガラスに映った白昼の幻影
活発と無気力
それらはいつも背中合わせに対峙している
今の我々の眼には無気力が見えないだけ
やがて それも見えるときが来る